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「どうかしたの?」 私がそっと尋ねると、部長は苦笑しながら、 「『うん、ぼく、ちょっと かんがえてたんだ』 って返すのがベストかな?」 「黒い兎の真似しないの。 で?」 彼は少し考えてから、ぽつりと言った。 「これで映研も卒業なんだな、って考えてた」 スクリーンには、目を丸くして考え込む白い兎。 それから黒い兎も目を丸くする…。 そして、2匹の兎が手を取り合っていつまでも一緒にいよう、と約束を交わすんだ。 「スクリーンに映ると、何だか立派になった気がする。 でも、俺達が作ったのに何だか他の人の作品みたいな気にもなるんだよな」 くすり、と小さく笑う部長。 うん。 私もそう思った。 自分の声の違和感も含めて(笑)
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