月曜日

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きっかり十一時にほしこさんが部屋に来た。報酬だと言って、日本酒の瓶を一本と良い香りのする大きな梨を三つ差し出してきた。 「日本酒は飲まないんだけど」と俺。 「おりょうが飲むわよ」 そうなの? 意外に思って彼女を見る。彼女は曖昧に微笑んでいるだけだった。いつもは俺に合わせて飲まないだけで、実は好きなのを我慢してたりするんだろうか? 「覚悟はいい?」 一発芸でも披露するように、意味ありげな笑顔を向けられる。この研究所に来てから、驚かされることには慣れている。 「もったいつけないでよ」 「うふふ。……こっちへいらっしゃい」 手招きされて、ドアの外にいた人物が入ってきた。驚いた。入ってきたのは、『俺』だった。 驚いたけど、この研究所では案外、よくあることなのかも? と思っておりょうちゃんを見ると、やっぱりいくらか驚いていた。珍しいことなんだろう。 「オルガノン・アンジよ」 「オルガノン……」 おりょうちゃんが繰り返して頷いた。 「何これ、エンケパロス?」 俺が尋ねると、ほしこさんは若干鼻白んだ。 「あなたね、聞いてた? これは、オルガノン。エンケパロスとは別の種類なの」 「あ……オルガノンって種類なんだ」 依頼の内容は、新しいロボットの動作確認と使用報告だった。研究所には開発途中のロボットがいろいろいるらしい。でも俺が知ってるのはアントロポスとエンケパロスだけだ。
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