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真っ先にジャンに目を付けたのが、西の国「ロマンチア」だ。ロマンチアは、ジャンで作られる美味しい農作物を自国で流通させようと画策したのだった。
ロマンチアは圧倒的な国力を背景にジャンと交渉を開始。ただ、それは一方的な脅しに近いものだった。島国で他国からの脅威に備える必要のなかったジャンに軍事力と呼べるものは無く、その弱点にロマンチアは付け込んだ。
「ジャンの農作物をロマンチアに無償で提供しろ。そうすれば、ジャンの安全はロマンチアが守ってやる」
これがロマンチアからの要求だった。もし、この要求に背けば――。この先についてロマンチアが言及することはなかったが、それは自明のことだった。
この条約締結後、ジャンで作られる農作物のうち、およそ3割の量にあたる輸出分すべてをロマンチアが無償で独占することになった。農作物を納めるかたちでロマンチアに守られ、ジャンは平和を維持することができている。その農作物はロマンチア国民に人気が高く、両国の間には長く良好な関係が続いていた。
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