プロローグ1

4/6
前へ
/137ページ
次へ
レジに向かう途中、人だかりができていた。 「あ、サンタクロースだ!」 目をやると、たくさんの子どもに合わせて屈んでいるサンタクロースがいた。クリスマスシーズンのイベントだろうか。そのサンタクロースは子どもたちに風船をプレゼントしていた。 ケリーは、あからさまに行きたそうにそっちを見ている。 「この子と一緒に行って来るか?」 マイルスが気遣ってやると、ケリーはぬいぐるみを抱っこしながらサンタクロースの元までひとりで歩いて行った。まだ会計前だが、店内であれば問題ないだろう。マイルスは少し離れたベンチに腰掛けた。このおもちゃ売り場はなかなか広い。そのためか、いたるところにベンチが用意されていた。 「じっくりとお選びくださいね」 そういった商業的なホスピタリティであることに間違いはない。人だかりの最後尾あたりに着いたケリーは、マイルスに手を振った。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加