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プロローグ1
ここは西の国「ロマンチア」の首都・バロンシティ。冬の一大イベントであるクリスマスを控え、街中は大いに賑わっていた。イルミネーションが華やかに輝き、どこからともなく楽しげなクリスマスソングが聴こえてくる。雪がちらつき、ときに風が轟音を上げているのにもかかわらず、街は熱気を帯びていて、厚手のコートやマフラーに身を包み行き交う人たちは一様に気色ばんでいた。
バロンシティは、世界でも有数の大都会。高層ビルが建ち並び、ビジネスもカルチャーも、いわば、この世のすべてをリードしていると言っても過言ではなかった。世界中から人が集まる、まさに憧れの街。それが、ロマンチアの首都・バロンシティだ。
点在する大型の商業施設は、どこも人でごった返していて、そこを訪れる誰もが、誰かのためのギフトを探していた。特に、おもちゃ売り場は顕著で、目移りしそうなほどカラフルな無数の宝物を前にした我が子の嬉しそうな顔を見て、親たちも柔和な笑顔を浮かべている。
「クリスマス前のおもちゃ売り場には幸せが溢れている」
これはある作家の言葉らしいが、この考察に間違いはないようだ。
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