第3章

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第3章

 ミニキャンペーンや受注システムのアップグレード、そして祐樹の一時帰国イベントの企画と、起業して以来初めての多忙な日々が続いた。晴行と塁はゴールデンウィークも返上して、ひたすら仕事に打ち込んだ。  塁を中心に進めてもらっているTシャツのアイディアに対して、アレッシオ側の反応は上々だった。麻紀のデザインも評判が良く、もし日本市場での売り上げが好調なら、逆にクリアスカイ側にデザイン使用料を払ってヨーロッパでも販売したい、とまで言われている。自転車以外にもこのようなビジネスチャンスがあるとは、晴行は目から鱗が落ちる思いだった。  イベントの件は基本的に塁に一任していた。いちいち晴行の最終決定を待たずとも、基本的に塁の裁量で話を進めていいということにしているし、祐樹とも直接連絡を取り合ってもらっている。もっとも、律儀な塁はどのメールも必ず晴行に同報してくるのだが。 「先輩、咲田さんを空港まで迎えに行ってもらうの、明日予定通りで大丈夫ですか」  金曜日の夕方、営業を済ませてオフィスに戻ってくるなり、塁に声をかけられる。 「おー、そうだったな」     
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