運命なんて、明日には消える

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 設営の時に一通り見たのだけれど、サクラを装いながら展示作品をもう一度ゆっくり見て回る。崇史の撮った写真の中では、空を泳ぐこいのぼりの写真を一番大きく引き伸ばした。  展示スペースの一番隅に、写真雑誌のコピーと共に小谷野の作品も飾られている。俺のはいいよ、と小谷野は遠慮したのだが、部員全員で展示すべきと押し切った。小谷野の世界の一部として、自身の写真が飾られて鑑賞されている。それを誇らしく思う。もっといい写真がたくさんあるんですよ、と大声で言いたいのだけれど。二人だけの秘密にしたい気持ちもあるのだ。 「本当に進路希望、あれで良かったの?」 「とりあえず教職課程を取っておこうかと思って。だって社会人になったらデートする時間なくなるとかいうじゃないですか。僕がこの学校で働けば良くないですか」 「おまえなあ。理由より目的が先走るのはだめだって言ってるだろうが」  話している間に生徒の父母と思われるお客さんが来て、二人ともいらっしゃいませと、咄嗟によそ行きの笑顔を作る。 「そろそろ椎野が来るはずの時間なんだけど、遅いね」  連絡を取ろうと崇史がスマホを見ると、部活のグループチャットにメッセージが入っている。 「部長、クイ研のクイズ大会の撮影に行ったら参加させられてます。今準決勝!」 「とりあえず今、わたしが撮影してます」 「部長より、光村センパイに遅れるって連絡してだって」     
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