運命なんて、明日には消える

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 一年女子からの報告を見て思わず、えっ! と声を上げてしまった。壇上で早押しボタンを押している写真付きだ。小谷野に画面を見せると、何やってんだよと笑い転げた。 「さっき先生が様子見に来てくれた。椎野が来るまでいてくれるって。大丈夫!」  と返信した。 「椎野、優勝するまで来なければいいのに」 「おまえなあ。でも、俺もちょっと見に行きたい」 「先生はここにいなきゃ」  受付係の机に二人で並んで座る。誰もいない隙に手を繋ごうと、小谷野の手に自身の手を伸ばしたら、叩くように払われた。 「だめだって。学校ではちゃんと先生と生徒の関係を守るって約束しただろ」  すみませんでした、と生返事をして少し拗ねながら、崇史は余っていた最後のドーナツに手を伸ばす。食べ始めてから、食べる前に写真を撮った方が良かったかなと気付く。  ねえ、とでも言うように小谷野が肘で軽く突いてきたので、機嫌を直して顔を見る。 「年明けは入試とかで俺忙しくなっちゃうからさ。どっかのタイミングで出かけようか。車でも借りて。日帰り出来るとこになっちゃうけど」 「うーん……写真撮れるとこがいいなあ。なんか問題になった時にさ、部活の指導の一環とか言い訳が立つじゃん」 「そうだね、考えといて」     
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