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放課後、和は一人、桜子から貰った招待券の店にやって来ていた。
不思議の国のアリスをモチーフにした可愛らしい店内は、店員さんの服装も可愛らしい。
スイーツが鎮座するショーケースの前で、和は固まっていた。
「なんて……」
おとり皿を片手に、肩をふるわせている。
「なんて、かわいいんだっっ!!!」
煌めくお菓子の行列を前に、和は絶叫した。
(はぁぁぁ、どれもかしこも可愛いなちくしょうっっ!!!)
一人、身悶えし、頬を赤らめている和に、周りの客はざわめき、潮が引くように離れていく。が、当の本人は気がついていない。
ニコニコしながら、スイーツを吟味し、お皿に盛りつけていく。
ガトーショコラにショートケーキ、フルーツタルトに、と載せていき、あと一つどれにしようかな、と見渡して、
「はっ!あれは…!」
和の目にとまったのは、うさぎの形のカップケーキだった。残り一つだ。
(ラッキー♪)
ニコニコして、手を伸ばす。
と、寸前に横から伸びてきたトングに、うさぎケーキは奪われてしまった。
カチン、と来て、横は入りしたやつを見ると、
「「なんでお前(おめえ)が、ここにいるんだよ!!」」
見事に二つの声が重なった。
そこにいたのは、最も会いたくない、洋だった。
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