プロローグ

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 相手は彼女だろうか。短い会話だが、顔は(やわ)らいでいる。  堂々と付き合えて、幸せそうに話す男性を見ていると、早く彼との関係を温かく優しいものにしたい気持ちは一層(つの)る。  両思いなのに、なぜこんなに歯痒(はがゆ)い思いをしなければならないのか。  何の不安もなく、手を組んで街を歩いてみたい。そんなささやかな願いを叶えることも出来ないなんて……。  そう、自分たちだけがこんなに気を遣うのはおかしい。これは、ケジメをつけに行くだけなのだ。  見知らぬ男性のおかげで、気負ってガチガチに考えていた気持ちが少しほぐれ、決意を後押ししてもらえた。
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