プロローグ

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「お邪魔します」と一応その場で断りを入れ、携帯をもう一度鞄から取り出し辺りを照らした。  なんとなく、電気のスイッチを探してつけるという行為は躊躇(ためら)われ、そのまま照らしながら中へと足を踏み出した。  暗がりの中、彼女の部屋に入ったことはないからか、普段と何かが違うように感じて必要以上に緊張する。    まず手前からトイレ、お風呂、そしてリビングと確認していくがいない。  あとは、寝室だけだと、奥の部屋へと向かう。今日全てを終わらす決意を持って訪れたからには、引き返す気も起きなかった。  寝室を覗くと、奥の方、ベッドの少し手前で人が寝ているようにも見えなくはない。
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