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「早い方がいいかと思って」
「ああ。そうだね。歓迎する」
「ありがとうございます」
夏が過ぎても僕の中に灯った火種は
ますます熱くなるばかりだった。
「両親も失踪した息子をまた血眼で探すくらいなら、家を離れて2人で下宿するのもありだろうって」
自慢の長男が――何も言わず家出したことで
父も母も自分たちの子育てに自信を無くしていた時だった。
お互い距離が必要だったし
お目付け役の僕がいる事で2人は許す気になったらしい。
「おまけに下宿先が大学の助教授のお宅だと言ったら――2人とも安心したみたいで」
「へえ、一番信用ならない奴の家なのにお気の毒だ」
由莉の皮肉をさらりと聞き流し
「一度孔雀の肉でも持ってご挨拶に伺うか?」
わりと本気の顔つきで冬馬は言った。
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