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「けっこうです。母さんが卒倒しちゃう」
僕らはひとしきり笑ってから
今度は誰もが腹を探るようにそろって沈黙した。
物言いたげな顔を
時計回りに眺めていると。
「ひとつ確認しておきたいのは――だ」
講義の続きみたいに
仰々しく冬馬が手を上げて言った。
「君らが何を求めて家に来るのかってことだよ」
「何も求めてなんかいませんよ」
「誤魔化すなよ。ほら、片えくぼだ」
僕の作り笑いを見抜いて
由莉が指摘する。
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