第10章

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「まいったな。お兄ちゃん――助けてよ」 僕がわざとらしく 響也に助けを求めれば。 「僕はただ――汐里が望む事なら何でも叶えてやりたいだけです」 優しい兄は嫌がる素振りも見せず 素直にそう言って笑った。 「望みか――」 冬馬の目が 由莉の目が 獲物を捕らえる鳥みたいに同時に光る。 「おまえの望みは僕らが期待できるものか?」 テーブル越し 冬馬は僕を覗き込むように尋ねる。 「どうでしょう」 はぐらかすと 「でなきゃ家に来る意味なんてないだろ?」 由莉が躍起になって問い詰めた。
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