69人が本棚に入れています
本棚に追加
「まいったな。お兄ちゃん――助けてよ」
僕がわざとらしく
響也に助けを求めれば。
「僕はただ――汐里が望む事なら何でも叶えてやりたいだけです」
優しい兄は嫌がる素振りも見せず
素直にそう言って笑った。
「望みか――」
冬馬の目が
由莉の目が
獲物を捕らえる鳥みたいに同時に光る。
「おまえの望みは僕らが期待できるものか?」
テーブル越し
冬馬は僕を覗き込むように尋ねる。
「どうでしょう」
はぐらかすと
「でなきゃ家に来る意味なんてないだろ?」
由莉が躍起になって問い詰めた。
最初のコメントを投稿しよう!