第10章

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「不良教師が」 ふん、と鼻で笑って 由莉は僕ら兄弟に向き直った。 「てことだから――早いこと越してこいよ」 青みを帯びた切ない眼差し。 薄く射す陽光に照らされ 孔雀のブローチが美しい虹色に輝いた。 「そうだね――僕ら今すぐにでも行くべきだ」 言ったのは響也だった。 感覚的な物なのだ。 「ねえ?汐里――おまえもそう思うだろう?」 僕を撫でる響也の手は 欲すると同時に与えたがってもいた。 「僕は……」 集中砲火を浴びるように 3人分の視線を受け止めて僕は口ごもった。 「いつまで自分ひとりいい子でいるつもりだ?」 挑発的な物言いで沈黙を破ったのは冬馬だ。 「口に出して言ってみろよ――僕らとどうしたいのか」
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