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思い立ったように由莉が席を立った。
身体は完全に前屈みで
「あ……痛てっ!」
立ち上がった拍子にテーブルの角で
派手に膝を打ち付けて――。
倒れそうになったコーヒーカップを
なんとか長い指で抑えながら
「来たかったら……ついて来てもいいんだぞ?」
それでもクールなふりして
僕を誘うから――。
「いや……今は大丈夫です」
「じゃ、じゃあ俺は行くから……!」
僕らは互いに吹き出すのを堪えて
その背中を見送った。
「それじゃ、僕ももう行くよ」
「先生も?」
「ああ。週末に仕事を持ち帰らないように」
去り際。
冬馬は僕ら兄弟を交互に見つめると
うっとりとした顔つきで微笑んだ。
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