第10章

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運び出す荷物など知れていた。 僕らが必要な物は全て孔雀荘にあったから。 そして週末――。 冬馬は孔雀の肉こそ持ってこなかったものの。 ご丁寧に車で僕らを迎えにやって来て まだ半信半疑だった両親を安心させた。 「こんな立派な先生のお世話になるなら安心ね」 そう言って母に見送られると 少し後ろめたい気もしたが――。 「さあ、行こうか」 荷物を受け取る冬馬と指先が触れ合う。 それだけで――。 「ありがとうございます」 「助手席へどうぞ」 「……はい」 今の僕は 何にも考えられなくなってしまう。
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