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運び出す荷物など知れていた。
僕らが必要な物は全て孔雀荘にあったから。
そして週末――。
冬馬は孔雀の肉こそ持ってこなかったものの。
ご丁寧に車で僕らを迎えにやって来て
まだ半信半疑だった両親を安心させた。
「こんな立派な先生のお世話になるなら安心ね」
そう言って母に見送られると
少し後ろめたい気もしたが――。
「さあ、行こうか」
荷物を受け取る冬馬と指先が触れ合う。
それだけで――。
「ありがとうございます」
「助手席へどうぞ」
「……はい」
今の僕は
何にも考えられなくなってしまう。
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