第10章

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「汐里――汐里、着いたよ」 屋敷に辿りつくまでに 僕はどうやら眠り込んでしまったらしい。 目を開ければ助手席のドアを開け 響也が僕を覗き込んでいた。 「ン……」 目を覚ますと今じゃ習慣のように 僕は響也の首に腕を回してキスをせがむ。 もちろん響也が拒むことはない。 身を屈めむしろいつもより熱っぽいキスをくれる。 「着いた早々見せつけてくれるじゃないか――」 と――。 荷物を運んでくれる冬馬と入れ違いに 屋敷の入り口から長いローブを引きずって ブロンドの貴婦人みたいな由莉が現れた。
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