第10章

22/26
前へ
/26ページ
次へ
孔雀は奇怪な音を立てながら羽を広げ 無我夢中で僕を追ってくる。 まるで一度味を覚えた雌を 逃がさないとでも言うかのように――。 「いやだっ……こっちに来るな……!」 振り返りざま砂をかけてやるけれど 「キァッ……!ギィアッ……!」 より興奮した孔雀はかっと目を見開くと 「ウソ……!」 嘴から唾を飛ばして鳴き立てながら ダチョウ並みの速度で僕を追ってくる。 「キイィァァッ……!」 「わっ……!」 庭の真ん中に差し掛かった頃 ついにその嘴は僕の脚を捉えた。 僕の脚はもつれ 無残にも後ろから引き倒されるとまた 「いやぁっ……!」 孔雀は我が物顔で僕の双丘に飛び乗った。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加