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「ヴァンパイアみたいだ」
「あん?」
「その恰好」
透き通ったブロンドに
白粉を叩いたような白い顔。
レトロなベルベットのジャケットに
襟元には孔雀を象ったブローチが光っている。
「創設当時のサンローランのジャケットと多分こっちはジョルジュ・フーケだな」
「すごい」
「曾祖父の趣味さ。こういうのなら屋敷にわんさと眠ってるんだ」
襟元の孔雀を撫でながら
由莉は肩をすくめて
「ジーンズは自腹だよ。コレクションに一本もないからな」
高価なアンティークの下に身に着けた
ボロ布みたいなクラッシュジーンズを自慢げに指差した。
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