第10章

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「ヴァンパイアみたいだ」 「あん?」 「その恰好」 透き通ったブロンドに 白粉を叩いたような白い顔。 レトロなベルベットのジャケットに 襟元には孔雀を象ったブローチが光っている。 「創設当時のサンローランのジャケットと多分こっちはジョルジュ・フーケだな」 「すごい」 「曾祖父の趣味さ。こういうのなら屋敷にわんさと眠ってるんだ」 襟元の孔雀を撫でながら 由莉は肩をすくめて 「ジーンズは自腹だよ。コレクションに一本もないからな」 高価なアンティークの下に身に着けた ボロ布みたいなクラッシュジーンズを自慢げに指差した。
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