第10章

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「今度貸してよ」 僕がねだると 「どっち?ジャケット?ジーンズ?」 挑発的な笑みを浮かべて 由莉は舐めるように僕を見つめた。 と――。 「この絵はいただけないな」 僕らの間に割って入るように テーブルの上 ストンと分厚いテキストが置かれた。 「冬馬さん」 「どうして誰も昼飯を食べない?ただでさえ目立つのにおまえら、テーブルを挟んで昼休みの間中見つめ合ってるつもりか?」 そう言うとテーブルの真ん中に コーヒーが4つとサンドイッチののったトレイが置かれた。 「先生の奢り?」 「ああ――愛しの弟たちに」 響也がちょこっと口端を上げて 三角形のサンドイッチに手を伸ばす。 「言っとくけどあんたが同じテーブルにいるのが一番目立つからな」 由莉は文句たらしく 倍増したあたりの視線を捉えて吐き捨てた。
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