第10章

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「毎回イキます。汐里は前と――後ろでも必ず。僕は毎回汐里の中でイキます」 まったく涼しい顔して――。 サンドウィッチが逆流しそうな 生々しい回答を投げつける。 一気に体温が上昇した。 それは僕だけではないらしかった。 「このままじゃ弟に手を出してしまいそうで怖いと――家に来て悩んでたのはほんの数か月前だぞ?」 「そうでしたか」 冬馬がネクタイを軽く緩めると 「ああ。たしかに――汐里と一度でも寝られたら、自分の身を俺らに捧げてもいいって泣いたよな?」 「僕がそんなことを?」 由莉も手で顔を仰いだ。 「友よ、僕は時々ひどく感傷的になるんだ。許してくれ」 響也が芝居がかった調子で あっけらかんとそう言うと 「おまえもおまえだぞ、子鼠」 「ええっ……?」 「そうだ。おまえもおまえだよ」 響也を攻め立てていた兄弟の矛先は いつの間にか今度は僕に向かった。
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