第10章

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第10章

そして夏が過ぎ秋が来た――。 「汐里くん、お兄さん見つかったのね」 「ああ、うん」 「どこにいたの?響也さん」 「さあね――ふらりと出てきたんだよ」 僕は響也を連れ自宅へ帰り 新学期には2人して大学に戻った。 「それはそうと、この後みんなでお昼でもどう?」 「ごめん――ちょっと先約が」 人波の中一際目立つ 一点のシミもない真白なセーター。 講堂の角でどこぞの王子のように 響也が手を振っていた。 「行かなきゃ」 失踪事件なんて夢だったのじゃないかと 皆に思わせる清々しい笑顔で――。
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