第五章 軽井沢

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「あ……」  涙が出るのと同時に、体の中に何か侵入してくる。  右手の人差し指、それは見ないでもわかった。  ペンだこと、節くれだった指の関節を体の内側がとらえる。 「やぁ、うっ……」  中を無慈悲に弄ばれながらも、その指が愛おしかった。  むしろ、ペンを握るべき手にそんなことをさせているかと思うと、そこに抗いがたいエクスタシーを感じる。布団に突いているひざが震えた。  人差し指が一旦抜かれ、今度は二本に増やした指が入ってくる。 「ああっ」  二本の指は別々に動き、隆一を翻弄する。  半分引き抜いてはまた中に埋め、指はどんどん深くなった。  お腹の中が燃えるように熱い。 「力抜かないと次、苦しいよ」 「え――…」  二本の指が左右に開き、入り口を押し広げた。その拍子に、中から蜜がこぼれだす。 「嘘、こんな……」  太腿の内側を、生暖かい液体が伝っていった。  それで隆一は、自分の体が本当に受け入れる側なんだということを理解する。 「驚いた? 君の体は、僕を欲しがっている」  指を引き抜き、夏目がわずかにうわずった声で言った。 「……そろそろいけるんじゃないかな」  布団の上に、仰向けに寝かされる。     
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