【第三章:風の狩場とカルマの谷 二】

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「ブラッドさんたちはどうしてそういう体質なんですか?  ……そもそも魔力って何ですか?」  地球でもゲームや漫画などで良く出てくる言葉なので、何となく知っているような気でいたが、『魔』とは何だろう。 「魔力はある程度は誰にでもあるものなのですが……。  一言で言うと自然の法則を『歪める力』、『退ける力』と言った所ですね。  天の力、自然の力と原初から共にありながらそれとは別の物。 『魔』とは自然の物質と同じくどこにでも存在しながら、目には見えない物。  天の自然法則の力を意志の力によって変化させることのできる物、でしょうか。  ダークマター、ダークエネルギーとも言いますね」  そう言いながら、ブラッドは北西方面を手で指し示す。 「そして我々のように魔力の強い者は、魔境に近い場所で生まれ育っている事が多いようです。 『汽水域』、海水と淡水が海と河口で混じりあう場所のような所ですね」  魔境を抱える山脈と緑の森林の間、こちらの高台より少し下方になる場所の丘には、木の柵で囲まれた、いくつかの小さな集落を見ることができた。 「ここが、私の生まれ育った場所です」  ブラッドは谷からの風を受け、誇り高い笑顔で微笑んだ。
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