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花火大会が行われる広場の近くにある駐車場に車をとめると、二人は仲良く肩を並べて広場のほうへ向かう。
剣上が言った通り、それほど規模は大きくなさそうだが、人は予想以上に多かった。
花火がよく見えるベストポイントに近づくごとに人は増えていく。
「友、はぐれるなよ」
剣上がその言葉とともに友一の手を握ってくれた。
そのまま手を繋いで歩きだす。
「いいの? 先生、遠いからって知り合いが来てないとは限らないよ?」
剣上の少しひんやりとした大きな手をギュッと握り返しながら、友一が言うと、
「そのときは見せつけてやればいいさ」
彼はその端整な顔を微笑ませる。
普段学校で絶対に見せない優しい表情は、友一だけの独占物だ。
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