第7話 『和道流博正会勝浦支部』

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まるで大魔神が変身するときのようである。以前僕らの昇級試験に付いてきてくれたK川先生は見本として他の支部の有段者の若者と組み手試合をやって見せてくれたが、K川先生は暑くなると胴着からと頭髪のない頭から湯気が上がる。試合の途中相手がちょっとふざけた格好をとった。 初めは、多めに見ていたK川先生だが、何度もふざけた態度を見せる相手の若造に中段突きと蹴りを一発。相手は壁際までぶっ飛び、気絶してしまった。それを見ていた僕ら生徒は、K川先生だけには、間違ってもふざけた態度は取るまいと改めて心に誓った。K川先生は、空手の練習日で無い時も、毎日仲買の仕事が終わったあと道場の外にぶら下げたサンドバックで突きの練習をしていた努力家であった。そのサンドバックには、所々赤く血が付いておりそのぐらい毎日練習していた。この道場はこの校舎跡が取り壊されたと同時に終わったが、形を変えてスポーツ少年団の様な形で那智勝浦町でも空手を習っている子供たちがいると聞いている。中学入学と同時にやめてしまった僕だが今でもその道場のことを思い出すことがある。良き思い出である。 第7話終わり
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