第63話『そろばん学校』

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)「ええねん、僕。僕らはこれでええねん」とタコちゃんと僕は自分たちのそろばんを愛おしくさすりながら、だまってうなずきあった。このそろばん学校は、そろばんだけでなく、たまに、休みの日曜日など希望者で各自弁当持参で遠足等行った。那智中学校の上の鉱山跡にも遠足に行った。僕もタコちゃんも参加しタコちゃんは、しきりに「校長先生、これ金やないん、絶対金やわ、俺大金持ちになったぞ」とわめき散らしていた。どうみても銅やのに、僕も校長先生もめんどうくさいので「そうや、金や、なかなかないで」と言っておいた。そんなんで校長先生はかなり生徒から好かれていたと思う。僕らは小学校6年卒業まで通ってそろばん2級、暗算も2級で終わった。 縁あって僕の今の家の近くには、Yそろばん学校の分校がある。(つい5、6年前まで生徒が通っていたが今は閉校している)今は、本校もやっていないと思う。僕たち、いや那智勝浦町の大人達の子供時代の良き思い出であろう。電卓なんか無かった時代の。オレンジ色の手提げカバンなつかしいなぁ~。 第63話終わり
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