第四章 就職1

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第四章 就職1

  僕たち日商簿記専門学校会計学科の生徒は、無事卒業式を迎え、その年の4月からそれぞれの仕事場に飛び出していったのである。僕は、新宿の東口にある紀国屋書店の9階に本社のあった帝都無線というレコード店に就職が決まっており、4月の初めから働き始めた。初日は上下スーツを着て本社へ行き社長や業務課長等の説明を聞き、僕は紀国屋店のテープ部門に配属となった。帝都無線は株式会社で関東地方にいくつかの支店をもつ大手レコード店であり、当時山野楽器、新星堂とかに次ぐ全国でも5 本の指に入る程の大手であった。その帝都無線の本店である紀国屋店に配属となったわけである。紀国屋店は紀国屋書店の2階にあり新宿駅の東口を出ると左にアルタ、ひして右側に大手カメラ店やマイシティ等があり駅から歩いて5分くらいの所にある。いわゆる新宿のど真ん中で平日でもすごい来客で、土日祝には、ごった返すぐらいの来客であった。紀国屋店は、池田店長、そして副店長の林さん、レコード部門の甲斐よしひろに似ていた上野主任、アイドルのことならなんでも知っている鈴木さん、中島みゆき命の森田さん、ベテランの木下さん、テープ部門は、早見優が命の立園(たちぞの)さん、 アフロヘアーの斉藤さん、そして僕、吉村、映像部門に山田さん、レジ専門の山本さんで頑張っていた。 店員は朝9時出社、各主任が商品卸センターに電話をかけ在庫が切れた商品を各レコード会社ごとに注文する。その間、店員は各部門の商品の確認、売り場のそうじ新商品の陳列等を行う。10時開店の午後9時閉店。早番と遅番制だった。僕は主任の立園さんや、斉藤さんの指示のもと少しずつ仕事をを覚えていった。店には、結構頻繁に各レコード会社のセールスマンが、目玉商品や、売り込みたい新人なとを連れてやってくる。なんせ大手レコード店。当時の歌手や新人は、ほとんど店に来た。僕はテープ部門だが、お客さんに聞かれたら知りませんとは、いえない。演歌もアイドルもロック歌手もパンクも邦楽も洋楽も落語もクラシックも相撲甚句もなんでも知らなくてはいけない。簡単な質問ばかりではない。
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