第四章 就職2

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「レバニラ炒め定食にしようかな。吉村くんは」「僕もそれでええです」「ここの店なんでもおいしいぞ。あの2 人、陳さん兄弟だよ」「どうも、よろしくね。お兄さん名前なに」「あっ、吉村いいます。この前帝都無線入りました。よろしく。」「吉村さん、吉村さんね。うん、覚えたよ。」しばらくして「はい、できたよ。おいしいよ。」とカウンター越しに僕らの前にレバニラ炒め定食が並べられた。スープ付きである。 ちゅうさんは、手に酢の瓶を持ちスープにかけた。そして豆板醤をレバニラ炒めの皿に少しとり、それをレバニラ炒めと絡めた。「スープはちょっと酢入れるとうまさが増すぞ。また、豆板醤も入れるとうまいぞ」そういってちゅうさんは、食べ始めた。僕も真似をして食べてみた。うまい。普通に食べるよりうまい。この酢を入れる食べ方と、豆板醤入れる食べ方は、この時ちゅうさんから学びそれ以来今も僕はこの食べ方をしている。うまいのである。他にもいろいろな店にちゅうさんや、他の店員とも行ったが、僕はカポネと西口の中華料理店がほとんどを占めた。一人でも行ったもんだ。中華料理店へ行った後は喫茶店でちゅうさんとコーヒーをよく飲んだ。ある日僕は、ちゅうさんに聞いた。ちゅうさんは、ものすごくまじめでベテランなのだが、たまに間違いをおかしていた。そんな時は、年下の主任や店員に、ぼろくそに言われていた。その日も陳列の仕方で主任に怒られていた。ただ、その時は、ちゅうさんは、めずらしく主任に対し言い返していた。「いや、これは、この陳列の方が売れると思います。」新人の僕が見ても、ちゅうさんの陳列の仕方の方がいいと思った。でも結局、主任の言うとおりになってしまい、ちゅうさんは、だまって陳列しなおした。でも、くやしそうだった。
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