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2009年4月7日
薄桃色の桜の花びらが散る中 俺は彼女に出会った。
美しい黒髪がなびく彼女の後ろ姿を見ながら俺はその子に目を奪われたかのようにずっと見つめていた。
ここ山野井市は中部地方にある山に囲まれた美しい街だ。
都会か田舎かと言われれば田舎の部類に入るが街中はそれなりに発展していて娯楽施設もそれなりにあるいい街だ。
俺 湯山光一はここで生まれ育った訳ではない
と言っても生まれが違うだけでほぼここで育ったようなものだ。
光一の入学する山野井中学校は県内東部地方でも指ありのマンモス校で全校生徒が1000人を超える。
卒業式が終わり、担任紹介がありその他諸々の説明があった。
光一は窓の外を見ながらぼーっと話を聞いていた。
「ねぇそこの君...ねぇったら」
名前で呼ばれなかったため一瞬誰かに呼ばれていたことに気がつかなかった。
どうやら隣の女の子が声をかけてきたらしい。
「ちゃんと話聞かないとわかんなくなるよ」
どうやら俺の事を心配してくれたらしい。
「あぁそうだな」
光一はぼーっとしながら話を聞いた。
ホームルームが終わった後休憩時間が与えられた。
「ねぇそこの君 名前はなんていうの?
私は優香 松本優香っていうの」
「俺は湯山光一」
素っ気ない態度で返した。
「ふーん。なんでそんな怒ったような顔してるの?」
優香が聞いてきた。俺はお節介だなと思いながらも何か適当に返せる言葉を探した。
「別に、怒ってる訳じゃないよ」
光一はそう返した。
「そうなの?ならもっと楽しい顔しなよ、そんな顔してると誰も寄ってこないよ」
そういうと優香はどこかへ行ってしまった。
(楽しい顔か....)
光一はそう思いながらチャイムが鳴るのをぼーっとしながら待った。
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