10/12
108人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ
 腰をひねりながら、じわじわと怒張をなかへと捩じ込んでいく。紅く染まっていたアリエッタの顔は今や蒼白で、痛みのあまり息も絶え絶えになっていた。 「あ……、はっ……」  ぱくぱくと口を動かしながら必死に息をするアリエッタを、エミリオはちから強く抱き締めた。細切れになった吐息が首筋に触れる。肌と肌が隙間なく合わさって、心臓の鼓動までひとつに溶け合うようだった。 「ごめん……ごめん、アリエッタ。もう大丈夫、大丈夫だから」  宥めるように背中をさすり、エミリオは何度もアリエッタに謝った。  潤んだ瞳をまぶたで覆い隠して、アリエッタがエミリオの首に細腕を絡ませる。涙に濡れた彼女の頬に、エミリオは出来る限りの優しい口付けを落とした。 「……謝らないでください。わたし今、とても幸せですから……」  震える声でそう囁いて、アリエッタは微笑んだ。  蒼白だった頬はふたたび赤みが差し、そのうえをぽろぽろと涙がこぼれ落ちていた。けれど、そこに痛ましさはどこにもない。  どちらからともなく、ふたりは唇を重ね合わせた。吐息を奪い、互いに舌を絡め合う。それに合わせるように、エミリオの腰がゆるゆると動きはじめた。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!