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「やることないからって、お世話しにいかないようにね」
さっき見てきたことでもまとめようとした時、そんな言葉が投げられた。
はあ?と言いたい気持ちをこらえ、無言で東雲さんを見返す。
「ご心配には及びません。先ほど得たたくさんの情報をまとめたいので」
さっきから、なんなのよ。
飄々とした顔でパソコンに向かっている姿にイライラが増していき、つっけんどんな返しをしてしまう。
まるで湯下さんを下に見ているような言い回しに、普段のは違う種の怒りが湧いていく。
嫌味を言いたいならこっちの目見ろよ。
「あっそう」と事もなげに返す様がさらにムカついて、わざと大きな声で「ええ!」と叫び、乱暴にキーボードを叩いた。
「お世話って・・・」
「いえ、なんでもないです。お店でちょっと」
「・・・ひ、日和くんのお世話でもしたとか?」
曖昧な誤魔化しが壮大な勘違いに繋がってしまった。
「犬のお世話、燃えるよね、うん・・・」と手元の書類を見比べ恍惚の表情を浮かべる梶浦さんに、そういうことにしておこうと無理やり笑みを作った。
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