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「ハァ、ハァッ、ハァ……ハァ」
肩で息をしながら、アシェラは細い路地を疾走していた。
囚われていた牢から逃げ出し、ディーガルの町中へと逃げ出したはいいが、もうすでに後ろには追手が迫っていた。
初めて訪れた町。
土地勘などあろうはずもなく、追手との差は縮まるばかりであった。
ーー早く町の外へと逃げなければッ……!
焦れば焦るほど、足はもつれ、判断力は鈍り、余計に体力を使ってしまう。
「おいィ、逃げられるとォ思ってんのかァ?」
「ッ!」
突如、横っ腹に鈍い衝撃が発生し、アシェラは横薙ぎに吹き飛んだ。
壁に叩きつけられ、視界が揺れる。
「ったくよォ。いちいち面倒くせェことすんなよなァ。トサカにきたぜェ」
ヨロヨロと立ち上がるアシェラの前には、面倒臭そうに顔を歪める豹人族がいた。
牢では見たことのない者だ。
刀らしきもので肩をトントンと叩いている。おそらく、あの刀で殴打されたのだろう。
アシェラは、未だに痛みが残る横っ腹に手を当てた。
やられたのが横っ腹で、まだ良かった。
これで足でも攻撃されていれば、逃げることを諦めなければならないところだった。
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