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「なァに安心してんだァ?」
咄嗟に、身を捩る。
直後ーー。
アシェラの後ろにあった壁が崩壊した。
豹人族の刀が振るわれたのだ。
逃げようと身を捩るも、続け様に放たれた蹴りによって、再び壁に叩きつけられる。
「ッ!!」
吐血する。
再び、足に力を入れて立ち上がる。
豹人族に続き、二人の犬人族も追いついてきた。
「お館様からァ、生きてるなら五体満足じゃなくてもいいって赦しは出てんだァ。手足の4本くらいは貰ってくぜェ」
ーーここまでなのか。
だが、誇りある魔人族の王女として、ただでやられるわけにはいかない。
例え、呪いの魔道具によって、声や力を封じられていようと、鍛え上げたステータスと体術で一人は道連れにしてみせよう。
そう決意し、目の前の豹人族を見据えて構える。
「できたみてェだなァ。オレに嬲られる、覚悟がよォ!」
豹人族が刀を振り上げる。
アシェラは迎え撃つために、拳に力を込める。
しかし、豹人族の刀は、アシェラに向かって振り下ろされることはなかった。
「あァ゛?」
「ッ!」
突如、澄み切った風切音とともに、豹人族の片腕が宙を舞った。
次いで、男の刀が地面に突き刺さった。
「がぁぁァァ゛ァ゛ァ゛!」
「あなたたち、三人がかりで一人を襲うなんて卑怯ですよ! そこに直りなさい、修正してさしあげます!」
アシェラの前には、白銀に煌く髪と尾を靡かせた女の子が立っていた。
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