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「そうか。なら、この魔人族が喋らないのも、この呪装具のせいってことか?」
無言で頷くミーナ。
話せないのが、呪装具のせいなら話は簡単だ。
その呪装具の効果を、拒絶で無くしてしまえばいい。
景は、そっと魔人族の胸元へと手を伸ばし、呪装具の宝玉に触れる。
「拒絶」
これで呪装具の効果は消滅しているはず。
しかし、確かめてみないことには分からない。
「もう喋れるはずだけど……、どうだ?」
「えッ? あ、本当だわ!」
何を馬鹿なことを言ってるんだ、という表情を浮かべた後、魔人族の女性はその顔を驚嘆へと変えた。
「本当にケイ様は凄いですね。呪装具って、普通つけた本人にしか解呪できないはずなんですけど……。流石です!」
尻尾を凄い勢いで、振りまくるミーナ。
その勢いは留まることなく、まだ「ヤバイです。反則級の凄さです!」「バランスブレイカーです!」などと、宣っている。
「本当に信じられない。まさか、呪装具を無効化なんてーー」
魔人族の女性は半ば放心状態でそう呟くと、ハッとして我に返った。
「すまない。礼が先であった。助けていただき、感謝する。私はアシェラ・シェヘラザード。父は魔人族の王、ルシア・シェヘラザードよ」
景にとっては、礼なんてどうでもよかった。
ただ、魔人族王の娘……つまり姫を助けたのなら、魔人族と交渉するときに大きなアドバンテージになるな、と心の内でニヤリとした。
「魔人族がどうしてここに? それに、あの呪装具は一体……?」
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