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「どこもかしこも私兵だらけか」
アシェラは、フードの下で深いため息をついた。
テイヒュルの屋敷へ向かっているが、近づけば近づくほどに私兵の数が増えている。
おそらく、アシェラを捕縛するためにテイヒュルが放ったのだろう。
魔人族一人を捕らえるために、随分と仰々しいことをするものだ。それだけ必死、ということの裏づけでもあるのだが。
やることはただ一つ。
テイヒュルの企みを暴くこと。
そのための証拠を探し出すことだ。
昨日、アシェラを襲っていた豹人族。
奴がテイヒュルの屋敷の警護やアシェラの捜索で町に出ていれば、話が早いのだが、そう簡単にはいかないらしい。
さすがにあんな失態を晒せば、即刻殺害されていてもおかしくない。
ただ、確認しておくに越したことはない。
アシェラは、屋根の上へと躍り出る。
フードをまくり上げると、美しい桃色の髪が風に靡いた。
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