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「はーい、じゃ準備始めるよ! 男子は看板作り。女子は衣装作りね」
そう言って、仕切りだしたのは、クラス委員長の石崎春香。三つ編み眼鏡のザ委員長を地でいく女だ。莉菜の友達でもある。親しい友達以外は、皆彼女のことを委員長と呼んでいる。
そんな委員長の号令で、やる気のある男子たちが看板作りを始めた。景はというと、未だに席に座ってボーッとしている。
「そっち、もうちょい引っ張って」
「はいよ」
看板になる板に白い紙を貼っているのは、クラスの中でも人気の高い男子の、神宮寺一騎と、彼の親友である龍川波瑠だ。
神宮寺も龍川も、景にとっては鬱陶しい存在だ。
理由は簡単。正義感の強い熱血漢で、体育会系だから。
インドア派で無関心の景とは、天地がひっくり返らなければ反りは合わないだろう。
「ちょっと、終夜君。ペンキ買いに行ってくれない?」
ふと前を見ると、委員長が立っていた。
他にも男子がいる中で、どうして僕なんだ?
と、景が思っていると、
「貴方、さっきからずーっとボーッとしてるでしょ。クラスメイトなんだから、少しは手伝いなさいよね」
余程顔に出ていたのか、矢継ぎ早に委員長が言ってきた。クラスメイトなんだからって、最早呪いの言葉だな。
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