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すると、先ほどまでお祭り騒ぎだった初老の男性が、景たちの方を向いた。
「いや、すみませんな。年甲斐もなく興奮してしまいまして。……ようこそ、御出でなさいました、異界の勇者方よ。儂はリヒト王国国王アルシュバン・エール・ブ・ラント・リヒトですじゃ」
やはりか。王冠を被っている時点でそうじゃないかとは睨んでいた景は、特に驚きはしなかった。
しかし、郁美や他の生徒は国王という単語に少したじろいでいた。
それにしても、『異界』とアルシュバンは言った。それはつまりーー。
「ちょっと待ってください。異界って、それにリヒト王国なんて国、聞いたことーー」
「ふむ。あなた方が混乱するのも無理はないでしょうな。しかし、説明するにしても、場所を変えましょう。ここでは座って話せませんからな」
アルシュバンと少女は、大勢のローブを着た兵たちに、休むように言うと、景たちを先導するように、歩き出した。
景は、集団の一番後ろを歩きながら建物内の様子を見ていた。すると、横から、
「ねぇ、景君。どう思う?」
「……何だ、白石か。どう思うって何が?」
「さっきの国王様? の話。本当なのかな?」
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