5851人が本棚に入れています
本棚に追加
一人ずつ、席に座っていき、全員が席に着くのを確認すると、アルシュバンは口を開いた。
「では、改めて。ようこそ異世界オフィーリアへ。勇者諸君。どうか、我々リヒト王国のため、そのお力を貸してくだされ」
「何を言っているんですか! これは何の冗談ですか! ここは一体どこなんですか!」
郁美が、アルシュバンに掴みかかる勢いで立ち上がると、周りにいた衛兵がスッと身構えた。それを見た郁美は、再び席についた。
「すみません。取り乱してしまいました」
「いや、構いませんよ。それも当然でしょう。ここは何せ、あなた方がいた世界とは異なる世界なのですからな」
アルシュバンの明確な言葉に、再び生徒たちが騒ぎ出した。
「違う世界って、どういうことだよ?」
「おい、このまま帰れないとかないだろうな!」
「異世界!? マジかよ!」
アルシュバンは大きく咳払いし、続けて話した。
「すまないが、質問は話を全て聞いてからにしていただきたいの。まず、ここは皆さん方からすれば、異世界オフィーリア。その中の人間族の一国、リヒト王国じゃ。現在は、西の魔人族と戦争状態にあり、東にあるベルゲン帝国や南の獣人族とも冷戦状態にあるのじゃ。この状態を打開するために、皆さん方異界の勇者を召喚したと、そういうわけじゃな」
最初のコメントを投稿しよう!