第8話 厄災

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ーーーーーーーーー ーーーーーー ーーー ー 「ミス・イクミ。どうやらこの町にもいないようですな」 「……もう少し、探してもいいでしょうか?」 「……どうぞ。貴女の気が済むまで、お付き合いしましょう」 長谷川郁美は、消息不明となった灰原を探すため、王国の捜索隊に加わり、ファーランの町へと来ていた。 近隣の町や村で聞き込みをしたところ、黒髪の少年の目撃情報があり、それを辿った結果、ファーランへと辿り着いたのであった。 しかし、ファーランへと着いた途端、その黒髪の少年の消息が幽霊のように消えたのだ。 ギルドに行って聞いてみても、そんな人間は来ていないし、見てもいないそうだ。 折角、ここまで来たのに捜索が振り出しに戻ってしまった。 郁美はがっくりと肩を落とす。 しかしすぐに、気を取り直した。 「郁美ちゃーん。明日も捜索するんだろー。腹減ったし、そろそろ宿に戻ろーぜ!」 「郁美せんせーい、早くー!」 少し離れたところから、郁美を呼ぶのは五味周太と古屋里恋だ。 二人の横には、羽田玲奈もいる。 三人は、灰原怜夢の捜索に加わる郁美を心配して、着いてきたのだった。 時刻は、すでに夕方。 強行的な進行と長旅で、郁美も生徒たちもくたくただった。 生徒たちが言うように、もう休んだ方がいいのかもしれない。
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