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風太はベットに座り、目の前で服を脱いでいく日和を眺めていた。日和は恥ずかしそうに顔を赤らめ、覚束ない手付きでズボンを下ろした。
目線は合わさない。忙しなく彷徨う視線が、日和の動揺を物語っていた。
『何でもする』そう言った日和に、風太が願ったのは2つ。
ひとつは、風太の目の前で自ら服を脱ぐこと。
ふたつめは、自慰をしているところを見せること。
その願いを聞いた時の日和を思い出し、風太はニヤつく顔を必死になって抑えた。カァーと顔が真っ赤になったと思ったら、次の瞬間には血の気が一斉に引いたように真っ青になった。
眩暈を起こしたようにフラつく日和に気付かぬ素振りで、嬉しいなと囁いた。
日和は自分の言動に、自己嫌悪に陥っていたようだが、風太からすれば、サプライズのプレゼントみたいなものだった。
最初、日和が店の中で手を繋ぐのを嫌がるのは、恥ずかしがっているだけだと思った。だから少しだけ意地の悪い質問をした。
それが、だ。普段、想いを中々口にしてくれない日和が、ヤキモチを妬いているのだと、怒りを露わにしたのだ。煽られない訳がない。
一瞬で欲情した風太は、急いで買い物を終わらせて、早く帰ろうと先を急いだ。ーーーーその結果、日和を置き去りにしてしまったのだ。
ふと振り向いた先に、蹲る日和を見た時は血の気が引いた。今にも泣きそうに顔を歪める日和を見て、かなり反省した。
そんな風太に『好きすぎておかしくなる』と日和が言った。更にキスのおまけ付きだ。
初めての日和からのキスに、狂喜乱舞したい気持ちを必死になって抑えた。
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