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それだけの状況証拠で、昨夜酔った自分が何をしたのか想像が付いた。付いたからこそ、混乱を極める。
「何やってんだ・・・俺」
後悔と懺悔の入り混じった呟きを漏らした。頭を抱えながら、チラリと横目でしなやかな背中を見た。
(・・・無理やりだよな、きっと)
奏ははっきりと自分を嫌いだと口にした。半分くらいは冗談だとは思うが、半分は本音だろう。そんな男がヤケになっていたとはいえ、嫌いだと思っている男に、素直に抱かれるとは考えにくい。
しかも、酔った自分がどれだけ下半身にだらしがないか自覚もしている。
それでも、幼馴染に、しかも男に欲情して無理やり襲い掛かるなんて無節操な真似をしたとは思いたくはなかった。
大翔は起き上がり、そっとシーツを奏に被せた。
ひどく混乱していた。頭の中を整理したいのに、現状がそれを許さない。
大翔はゴミを片付け、服を着た。シャワーを浴びたかったが、そんな余裕はなかった。とにかく、この場から急いで逃げ出したくて、気が急いていた。
それでも、時折奏の様子を確認する。寝息を聞いてホッとしながら、身支度を整えた。
忍び足でドアまで行き、静かに廊下へと出る。かチャリと扉が閉まったあと、ウィーンとロックがかかる音が響いた。
その音が聞こえた時、置き去りにして帰ることにひどく罪悪感が湧いたが、大翔はそんな感情を振り払い扉から離れた。
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