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先ほど自らで口に含んだ、シャルハの杯に注がれていた酒。
それが注がれる前、空の杯の中に予め、ほんの僅かな一滴だけ忍ばせておいたのだ。――媚薬を。
シャルハをその気にさせるために、少しでも可能性は高めておいたほうがいいと考えて、念のために打っておいた布石だった。
口に含んだだけの私でさえこうなっているのだから、飲んだシャルハがどうなっているかは、推して知るべしか。
――しかし、こんなに早く効いてくるなんて……!
ちょっとした計算外だ、と思ったと同時、唇が離れた。
いつの間にか私は、シャルハの膝の上に乗せられていた。どうやら自分で立っていられなくなっていたらしい。
すぐ近くで見つめ合って、互いに荒い息を吐く。
「愛してる、レイ」
熱に浮かされたような瞳で、ふいにシャルハが囁いた。
「昔の面影がなくなっても、今がどんな君であっても、レイはレイであることには変わらない。私はレイ自身を愛しているんだ。君がどんなに変わろうと、その気持ちだけは変わらない」
「シャルハ……」
「君がくれる誘惑なら、喜んで受け入れよう。――身体だけでも充分だ。望みを叶えてやることくらい、訳は無い」
唐突に、ふわっと身体が浮き上がる。
シャルハが私の身体を抱いたまま立ち上がっていた。そのまま迷いも無い足取りで寝台へと運ばれる。
柔らかな布団の上に身を投げ出されるや、すかさずシャルハの身体が覆い被さってきた。
「ちょっと待て、シャルハ……!」
「だめだ、待てない」
押し止めようと伸ばした手が、掴まれて寝台の上に押し付けられる。
「もう待てない。ずっと君が欲しかった」
「だから、シャルハ……!」
「こうやって……君の綺麗な肌に触れたかった」
服の裾を割って、彼の手が肌の上へと侵入してくる。
薬の所為でか、もたらされる少しの刺激でも身体が反応してしまう。気持ちよくて、このまま流されてしまいそうだ。
せわしなく私の上で動き回る彼の手が、服を脱がすのも待てないとばかりのもどかしさをもって、やがて既に固くなっていたそれに到達した。
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