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「――勝手に一人で自己完結するな、レイ」
仰向けになった視界いっぱいに、私を覗き込むように見下ろした、どことなく怒ったようなシャルハの顔が映る。
「さっきから言っているだろう。――君の望みなら叶えてやる、と」
「でも、シャルハ……!」
「迷いはない。ただ、考えていただけだ。それを成す方法を」
「え……?」
「名にかけてまで誓っておきながら、やっぱり出来ませんでした、では意味が無い。だから考えていた、勝算を」
「そんな……本当にいいのか、シャルハ? 今ならまだ……」
「何度も同じことを言わせるな。――君の望みなら何だって叶える。その力が、私にはあるのだから」
そして、彼の指が短くなった私の髪を梳くと、いつものように口付けられた。
「髪まで切って差し出してくれた、その覚悟ごと私は君を奪う。君が差し出せるもの、その全てを奪うよ。どんなに嫌だと言われてもね。――それが、君の負うべき代償だ」
見下ろす彼が、その言葉をゆっくりと紡ぐ。どこまでも真剣な瞳で。
「我、アサルバート・ウマル・ユリサナの名にかけて、ここに誓おう。――レイノルド、君の望みは私が必ず叶えてみせる」
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