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熱を帯びて私に触れるトゥーリは、少し意地悪ではあったけれど、とても優しかった。
こっちは、こんなにも色々なことに余裕がないというのに……どこか余裕を見せているうえに、どことなく慣れている風なところまでもうかがえて、それが少しだけ癪に障ったけれど。
すぐに私は、そんな彼の手によって、何を考えることも出来なくされてしまった。
息を整える暇さえ与えられず何度も繰り返しもたらされる愛撫に、あられもない声を上げて、無意識に身体をよじって応えてしまう。
思考の飛んだ頭のどこかで恥ずかしいとは思いながらも、それでも止められなかった。
私の全身が、ただ彼を欲していた。
喘ぐ声で、ひくつく身体で、もっと欲しい、もっと頂戴、と、恥ずかしげもなくねだっているのが、自分でもわかった。
マルナラでのシャルハとのそれを最後に、以来ずっと男を受け入れることのなかったそこが、久しぶりの圧迫に少しだけ苦しさを訴えてはきたけれど。
そんなことも気にかけていられないくらい、早く一つになりたかった。彼の全てを与えて欲しかった。
なるべく私に痛い想いをさせないように、傷付けたりもしないようにと、彼が気を遣ってくれていることもわかってはいたけれど、その優しさすらもどかしくて仕方なかった。
そこにもたらされる快感を、早く味わわせて欲しくて、どうしようもなくて……!
『――早くっ……!』
こんなにも切羽詰まって自分からねだってしまったのなんて、初めてだった。
すかさず一気に奥深くまで貫かれて、身体と心が同時に悲鳴をあげる。――少しの苦しさと痛みと……そして、たとえようもない官能の疼きに。
やがて引き上げられた絶頂は、当然のことながら、これまでに感じたことのないものだった。
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