【3】

12/24

158人が本棚に入れています
本棚に追加
/167ページ
       熱を帯びて私に触れるトゥーリは、少し意地悪ではあったけれど、とても優しかった。  こっちは、こんなにも色々なことに余裕がないというのに……どこか余裕を見せているうえに、どことなく慣れている風なところまでもうかがえて、それが少しだけ癪に障ったけれど。  すぐに私は、そんな彼の手によって、何を考えることも出来なくされてしまった。  息を整える暇さえ与えられず何度も繰り返しもたらされる愛撫に、あられもない声を上げて、無意識に身体をよじって応えてしまう。  思考の飛んだ頭のどこかで恥ずかしいとは思いながらも、それでも止められなかった。  私の全身が、ただ彼を欲していた。  喘ぐ声で、ひくつく身体で、もっと欲しい、もっと頂戴、と、恥ずかしげもなくねだっているのが、自分でもわかった。  マルナラでのシャルハとのそれを最後に、以来ずっと男を受け入れることのなかったそこが、久しぶりの圧迫に少しだけ苦しさを訴えてはきたけれど。  そんなことも気にかけていられないくらい、早く一つになりたかった。彼の全てを与えて欲しかった。  なるべく私に痛い想いをさせないように、傷付けたりもしないようにと、彼が気を遣ってくれていることもわかってはいたけれど、その優しさすらもどかしくて仕方なかった。  そこにもたらされる快感を、早く味わわせて欲しくて、どうしようもなくて……! 『――早くっ……!』  こんなにも切羽詰まって自分からねだってしまったのなんて、初めてだった。  すかさず一気に奥深くまで貫かれて、身体と心が同時に悲鳴をあげる。――少しの苦しさと痛みと……そして、たとえようもない官能の疼きに。  やがて引き上げられた絶頂は、当然のことながら、これまでに感じたことのないものだった。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

158人が本棚に入れています
本棚に追加