娘ばかり可愛がる夫

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何を言ったって無駄だ。拓哉は意固地になってしまって、聞く耳を持たない。 今度こそ、今度こそ、ほのぼのとした暖かい家庭を築こうと思っていたのに。 「ふぎゃあ! ふぎゃあ!」 さっき寝かしつけたばかりだというのに、結衣がもう目を覚ました。 いつも眠りが浅く、夜中に何度も目を覚ます。 大翔まで目を覚ましたら大変と思い、慌ててベビーベッドから結衣を抱きあげた。 ソファに座り、おっぱいをあげる。 無心におっぱいを吸う結衣を見つめた。 ーーー可愛くないのだ。 血を分けた自分の子であるのに、少しも可愛くないのだ。 もうずっと以前から気づいていた。 結衣を愛せていない自分に。 その罪悪感と嫌悪感という葛藤が、夫の拓哉に投影されていた。 だから拓哉の行動が許せなかった。 平等にふたりの子を愛せない拓哉に我慢ができなかったのだ。 「結衣、ごめんね。ママ優しくなかったね」 おっぱいを吸っている結衣の白いほっぺに涙がポタリと落ちた。
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