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「脚立……」
ぐるりと見渡してみても、脚立は見当たらない。
持ち出したの誰よ……。
「んーーっ」
脚立は諦めて、限界まで爪先立ち。
指先に当たるものの、掴む事の出来ないファイル。
その時、横から手がすっと伸びてきた。
「はい」
目の前に差し出されたファイル。
それを受け取る手が、少し震えた。
「……ありがと」
目が合った陽は、ふんわり微笑んだ。
あの日から、極力避けていた陽。
こんな近くで顔を見るのは久しぶりで、胸がぎゅうっとなった。
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