scene.4

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「脚立……」  ぐるりと見渡してみても、脚立は見当たらない。  持ち出したの誰よ……。 「んーーっ」  脚立は諦めて、限界まで爪先立ち。  指先に当たるものの、掴む事の出来ないファイル。  その時、横から手がすっと伸びてきた。 「はい」  目の前に差し出されたファイル。  それを受け取る手が、少し震えた。 「……ありがと」  目が合った陽は、ふんわり微笑んだ。  あの日から、極力避けていた陽。  こんな近くで顔を見るのは久しぶりで、胸がぎゅうっとなった。
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