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「美亜、久しぶりだね?」
「……うん。そう、だね」
この1ヶ月の間に、陽からあった誘いを、2回断った。
陽からの誘いを断れば、あまり会社にいない陽と顔を合わす事なんて、ほとんどない。
連絡を頻繁に取り合う訳でもないから、ちゃんと話すのもあの日以来。
なんだか気まずくて、顔を伏せる。
陽は、とん、と近くの棚に寄り掛かった。
「こ、こんなとこでどうしたの? 陽が来るの珍しいね?」
気まずい気持ちを取り繕うように言ったら、声が少し上擦ってしまった。
「……うん。まだ帰ってないっぽかったから、ここかな、って思って。
美亜を、探してた」
その声が真剣味を帯びていたから、もっと胸がぎゅうっとなった。
聞き返した声が、また上擦ってしまった。
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