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「……なに言ってんの? 別にわたしの顔なんて――」
見たくなんてないでしょ。
そう言おうとして、飲み込んだ。
言ったら、もっと苦しくなる気がして。
言ってしまったら、本当に陽がそう思ってしまう気がして。
「美亜?」
言葉を途中で切ったわたしを、陽が不思議そうな顔で見る。
陽から目を逸らして、立ち上がった。
「なんでもない。
じゃあわたし行くね? 今日中に終わらせなきゃだから」
歩き出したら、それを陽が阻んだ。
振り返ると、座ったままの陽がわたしの手首を掴んでいる手に少し力を入れる。
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